ストロベリーフィールド
夏休み最後の日、翔が家を訪ねて来た。

「ちょうどよかった」

玄関にある和希のサンダルを見ながら翔は言った。

「花火やろーぜ」

翔はコンビニの袋を私に見せた。

それだけで私のテンションは上がり、階段をかけ上がりベッドで眠っている和希を起こした。

「なんだよ。気持ち良く昼寝してんのに」

「昼寝って時間じゃないでしょ!いいから起きて!」

不機嫌な和希の体を無理矢理起こした。

目をこする和希の手を引き、三人で公園へと向った。

「青春ドラマみたいじゃね?夕日に向かって走る、みたいな」

「古いよ」

和希の言葉に私と翔は笑った。


その夜、暗闇に輝く花火の前ではしゃいだ時間は、あっという間だった。

だけど、ほんの一瞬見せた和希の悲しげな顔が、頭から離れなかった。
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