ストロベリーフィールド
「なんでそんなにテンション高いんだよ」

普段やらない事をやる私に、和希はめんどくさそうに言った。

「あのね、日曜日。翔と映画行くことになったの」

そう言った瞬間、辺りが静まり返った。
だけど浮かれていた私はその空気を感じ取れ無かった。

「おぉ。 良かったじゃん」

和希は一言、そう言っただけだった。




学校の帰りに家に寄った和希を相手に、私は洋服を引っ張りだし
鏡の前で洋服を組み合わせながら、こっちがいいかと独り言のように喋っていた。


それを呆れたように、ベッドに横たわり見ていた和希が、突然言った。

「ファッションショーじゃねぇんだから。 とりあえず落ち着け」

その言葉に、妙に恥ずかしくなり、洋服を置いてベッドに座った。

「翔と二人で出かけられるのが嬉しいのはわかるけど、そこまで力入れなくてもいいだろ」

「そう…かぁ」

どんなに頑張っても
翔は振り向いてくれない

そう和希に言われた気がした。

そして、改めて自分の立場を思い知らされた。

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