ストロベリーフィールド
翔との約束の日曜日。

早起きをして、髪型もメイクもいつも以上に時間をかけて仕上げた。

そして姿見の前で最後の確認をして家を出た。


外は雪が降り積もり、空気は冷えきり澄んでいる。

まっさらな雪の上を静かに歩き出すと、すぐに翔の姿が見えた。

「どうしたの?」

待ち合わせの場所は駅前のカフェだった。

だけど翔は駅どころか、私の家からすぐの公園の前に立っていた。

「時間がもったいねーと思って」

翔は珍しく頭を掻きながら言った。

「でも…」

映画館は駅前でしょ?と私が言おうとするのを遮り、行こう、と翔は歩き出した。

慌てて追いかける私に向かって微笑むと翔は言った。

「映画の前に行きたいところがあるんだ」

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