ストロベリーフィールド
「どこに行くの?」

という私の問いに、翔は微笑み

「着いたらわかる」

と答えるだけで、歩みは止めなかった。


雪の降る中、他愛のない話をしながら二人で並んで歩いた。

不思議といつもなら出る筈の和希の話は一切なく、私に合わせるかのように、翔の歩みはゆっくりだった。


バスに乗ると、次第に見たことのない道を進み、キャベツ畑の見えるバス停で降りた。

そこからさらに歩くと、高台へと上がった。

「ここ…?」

何もない広々とした高台から、畑ばかりの景色を見下ろし、聞いた。

翔は微笑み、辺りを見渡せる位置にポツリとあるカフェへ向かった。

しかし、後をついてカフェへ入ろうとした時、扉に掛けられた″定休日″の文字が目に入り、慌てて翔の腕をつかんだ。

「今日、やってないみたいだよ」

「大丈夫」

翔は優しく私の手を払った。

それと同時に扉に付けられたベルが鳴り、店の奥から若い女性が出てきた。
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