ストロベリーフィールド
館内に明かりが灯った頃には、翔の涙は綺麗になくなっていた。


そして、すごくよかったと満足げに微笑んだ。




映画館を出て歩き出すと、ふと翔が言った。


「なぁ、俺のどこがすきなの?」

不意打ちでストレートに聞いてくるもんだから、言葉も出ず、歩みが止まった。

だけど、そんなのはお構いなしに翔は歩き続けている。


翔の姿が少しずつ離れていく。

それが怖くて、私は小走りに翔に駆け寄った。


「今さらどうしたの?」

なんて聞き返す私に涼しい顔で別に、と翔は言った。


だから私も、翔の問いかけに答えなかった。



だって、いつでも伝えられると思ってたから。


この先ずっと
翔はそばにいてくれるって信じてたから。
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