狼くんと放課後LOVE(仮)

「由衣ちゃん、これ忘れ物」


親しげに、その女の人の名前を呼びながら小さな紙袋を抱えた宮崎くんの姿が視界に飛び込んできた。


「宮崎くん…」


思わず名前を呼んだあたしに気づいた宮崎くん。


「なんで?ここに…?」


驚いた瞳でそう呟くように聞いた後、宮崎くんの視線があたしの横にいた酒井くんを捕らえた。



「なんで、一緒にいるわけ?」



その瞳は、怒っているような傷ついているような、そんな瞳。



「あっ…あたし達は偶然、ここで会っただけで…それよりも、宮崎くんも、その人は誰…?」


誰なの?と聞こうとしたあたしの目の前


「あっ、この人は、俺の…」


そう何かを言いかけた宮崎くんの首に女の人が腕を回して、あたしをチラリと見て微笑んだ、そして…

チュッ…と軽いリップ音を立てながら女の人が宮崎くんにキスをした。


「えっ…?」


な、なに?なに…これ…ウソだよね?

何かの間違いだよね?宮崎くん…。



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