狼くんと放課後LOVE(仮)

「じゃあ、今でもあたしのこと…」


潤んだ瞳で見つめられた。何度、その瞳で俺だけを見て欲しいと願ったか分からないその瞳で


由衣ちゃんは今、俺だけを見ている。


「ねぇ、本当はそうなんでしょう?あたしのこと…いまでも」


「好きじゃないよ」



「えっ…?」


悲しみの絶望の色に染まった由衣ちゃんの瞳。


その瞳をそらさないで真っ直ぐ見つめた。


「今は…好きじゃない…」


「うそ…」


「うそじゃない。俺がいま好きなのは…莉子だけだから…」



ごめん…。


もう、遅すぎたよ。俺はもう、莉子に出会ってしまったんだ。


「莉子しか、好きじゃない…だから、行かないと…」


アイツのところに、莉子のところに行かないと…。


由衣ちゃんの腕をそっと握って俺の腕から放した。

その放れた由衣ちゃんの腕が虚しく空気を切る音を聞きながら俺は…星1つない真っ暗な闇に包まれた空の下、莉子の元へと駆け出した。



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