狼くんと放課後LOVE(仮)
第4章
キミしか見えない
【莉子side】
「大丈夫か?」
あたしの腕を掴んだまま、心配そうに顔を覗き込む酒井くんの視線から逃れるように俯いて唇を噛んだ。
「立木…」
「見ないで…。いま、凄くヒドイ顔してるから…」
瞼を閉じると、さっきの宮崎くんのキスシーンが、まるでドラマでも観ているように鮮明に浮かんでくる。
なんで?なんでなの…?なんで…。
宮崎くんが他の人とキスしてるのなんて見たくなかったよ!!
「うぅ……」
泣きたくないのに、涙がポロポロ溢れて止まらないよ…。