狼くんと放課後LOVE(仮)
無言で酒井をギロリと睨んだ。
普通なら、そんな俺を怖がりみんな逃げ出していくぐらいの迫力だ。
だけど酒井は逃げたりせず、逆に俺とは真逆に顔色1つ変えない。
「なんか用?」
なるべく冷静に言いながら握り拳をギュッと爪の痕が残るぐらい握りしめて殴りたい感情を抑え込んだ。
さっき酒井が莉子を抱き寄せた光景が頭から消えない。
沸々と湧き上がる怒りを抑えるのに必死だった。
「用ないなら、俺行くから」
「あるよ」
「なんだよ?」
「立木を泣かせるな。じゃねぇーと、俺、お前から立木を奪うぞ」
「はぁ?俺から莉子を奪う?よくそんなことが言えるよな?
莉子を傷つけたのはお前だろう!」
「お前だってそうだろう!」
「なんだとう…?」
今更…なんなんだよ!?俺達の間に入ってくんな。
「ふざけるな。誰がお前に渡すかよ…絶対に渡さない!」
ギロリ酒井を睨みつけて莉子のあとを追った。