狼くんと放課後LOVE(仮)
「送るよ」
「いいよ」
「送る」
半ば強引に、あたしの手を繋ぐと「行こう」と歩き出した宮崎くんの背中を涙目で見つめた。
何も話さないまま月夜の道を2人で歩いた。
顔は冷たい風があたって寒いのに、繋いだ手はあったかくて余計に泣きたくなった。
「莉子…」
不意に立ち止まり振り返った宮崎くんの瞳を見つめた。
「いま、きっと何か言っても言い訳にしか聞こえないと思う…」
絞り出すように、言葉を紡ぐようにゆっくりと話す宮崎くん。
「けど…これだけは覚えておいてほしい。
俺が見てるのはずっと…莉子だけだから。
莉子だけしか見てないから」
その言葉に、堪えきれなくなった涙がポトリポトリと零れ落ちた。
「だから…俺のところに必ず帰ってきてほしい。
この手を放しても、必ず。俺のところに…帰ってきて」
「うん。約束する…」