狼くんと放課後LOVE(仮)

「…彼女のこと…頼むな」


酒井はそう言って俺の腕の中で気を失っている莉子の顔をチラリと見た。


その瞳がうっすらと涙で潤んで見えたのは俺の気のせいじゃないよな?


「じゃあな」


クルリと体の向きを変えて右手をヒラヒラさせながら去っていく酒井の背中を見送りながら、俺はギュッと莉子を抱きしめた。


大切な宝物を二度と離さないようにギュッと抱きしめた。




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