狼くんと放課後LOVE(仮)

「ただいま!」


息を切らしながら勢いよく家の玄関のドアを開けて中に入ってパタンと後ろ手に閉めた。


「おかえり。どうしたの?慌てて」


エプロン姿のお母さんが不思議そうな顔で聞いてきた。


「ううん。なんでもない」



「そう?」



ならいいけどと首を傾げながらキッチンに向かうお母さんを


「あ、あのね。お母さん」

呼び止めた。


「うん?なに?」

立ち止まって振り返るお母さんに


「クリスマス・イブ…なんだけどね…」


「うん。イブがどうしたの?」


「その…泊まりにいってもいいかなぁ?」


ドキドキしながら聞いた。


「泊まり?どこに?」


「えっ?どこって…」


宮崎くんの家になんて言えないよ…。


「美穂の家に!いいかなぁ?」


「あぁ、美穂ちゃんの家ね。いいよ。泊まっておいで」


「ありがとう。お母さん」

ごめん!美穂!ごめん!お母さん!嘘ついてごめん。


どうしても宮崎くんと一緒に過ごしたいの。ごめんね。


心の中で謝りながら階段を駆け上がり自分の部屋に向かった。


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