マスク・ドール
ヒミカの張り込み
「今が寒い季節じゃなくて、心底嬉しいわ」

「そうですねぇ。それにしてもヒミカ、分かっています?」

「何がよ?」

「マカさんに囮の役目、押し付けられたんですよ?」

「分かっているわよ。だから引き受けたのよ」

専門学校の屋上で、ヒミカとキシはお弁当を食べていた。

すでに空は暗く、月が高い位置まで昇っている。

お弁当はキシの手作りで、ヒミカはパクついていた。

「アタシは殺される女性の条件に当てはまるでしょうし、万が一襲われても対処できるからね」

「分かってて、乗ったんですか?」

「マカだって、面倒だって分かってて引き受けたわ。将来の幹部としては、時期当主には良い顔していたのよ」

「よく言いますね。本当は心配なのでしょう? マカさんのことが」

苦笑するキシを見て、ヒミカはそっぽを向いた。

「さぁね」
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