マスク・ドール
建物の屋上を次々に飛び移り、やがて土手に舞い降りた。

そこで対面したのは―。

「…何、コレ…」

大きな『人形』だった。

全長2メートル。

形は人型。

しかし体の作りは、明らかに人間ではない。

顔は白いマスクで、無表情。

体は緑色で、手足は細長く、まるで刀の刃を太く・大きくしたような形だった。

胴体はまるでドラム缶のような形をしている。

手足と後頭部には太いチューブがあり、胴体へと繋がっている。

チューブの中身は赤く、常に液体は流れているようだった。

どくんっどくんっ…!

離れた位置にいても、その動きの振動は伝わってくる。

ヒミカは顔をしかめた。

この『人形』からは、複数の人間の血の匂いがする。

しかも死者の匂いだ。
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