マスク・ドール

決着

しかしマカと『人形』の動きは止まった。

床の影が突如動き、二人の体に巻きつき、動きを止めたのだ。

「…この力、マノンかっ!」

「そうだよ」

二階から、マノンの声が降ってきた。

全員が一斉に二階に視線を向ける。

黒づくめのマノンが、険しい顔をして立っていた。

「『マスク・ドール』ねぇ…。魔女なんかには興味ないけど、その顔をされるのはイヤだなぁ」

そう語るマノンの両目は、赤く染まっていた。

『人形』の体に巻き付く影は、徐々にその体を締め上げる。

「誰を喰らおうが殺そうが構わないけど、ボクの姉さんに手を出すことは許さないよ?」

ギシギシッ ミシッ

やがて『人形』の体中にヒビが入り、ついには全身砕け散った。

バラバラと『人形』の破片が、辺りに飛び散る。

あっと言う間の出来事に、マカは気を取られていたが、すぐに我に返る。
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