マスク・ドール
「それじゃあお前は、早い段階から『マスク・ドール』の存在を知っていたのか?」

「知ったのはつい一週間ぐらい前だよ。夜中におかしな動きをしているヤツがいるから、ちょっと見学したんだ。まあ狙っていたのは一般の普通の女達だったし、ほっとこうかと思ってたんだ」

「お前なぁ!」

「だって興味ないもん。…まあ標的が能力者に移ったら、流石に動かないわけにはいかなかったけどね」

「…お前の喰らう分を、横取りされるからか」

「そうだよ。目的が同じになるなら、無視はできないからね。ボクの体はまだ充分じゃないし」

「どこがだ? 『人形』を破壊するほどの力を、お前はもう持っているじゃないか」

顔をしかめるマカを見て、マノンは苦笑した。

「それは今が夜だからだよ。残念ながら、ボクはまだ夜の眷属なんだ。おかげで太陽の出ている時間には、身を潜めなきゃいけない。派手な動きも、夜限定なんだよ」

「あの『マスク・ドール』も夜限定だったな…」

「魔女は元が夜の属性だからじゃない? 月の魔力も関係あるって聞いたことあるし」
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