天使と野獣

そしてある時、突然、性に興味を持ち、
いろいろな成人向け書物を買いあさり、部屋で読みふけった。

その頃はまだ背も伸びず、中二でも150㎝そこそこ、
細くて童顔だったから、私服を着れば小学生でも通った。

そんな京介だが、元々飛びぬけた行動力の持ち主、
本や写真を見るだけではすぐにもの足らなくなった。


ある日、中学校をいつもより早い時間に抜け出して渋谷まで行った。

それ自体が中学生の京介には初めての冒険だったのだが… 

電車を降り、しばらくは足の向くまま気の向くままに歩いていた。

その内に寂れた感じの汚い雰囲気の場所に来た。

夜ならばネオンでカモフラージュされているが、
昼間では路上のゴミが真っ向から目に付いている所だった。


ここは自分が描いていた所とはイメージが違う、
と思いながら他の通りに出ようと歩いていたところに、
いきなりドアが開き、京介が描いていた【本物の女】が顔を出した。


女は、春と言うのに薄物の胸が沢山開いたブラウスに、
お尻の形がはっきり分る、鮮やかな紫色のパンツをはいていた。

少しうつむけば成熟した乳房が飛び出しそうだった。

それで京介は交渉に入った。女を抱きたい、と。


京介を見て女は大笑いをしたが… 
それでも、見かけは完全に子供なのに、
真剣な眼差しで何度も頼む京介に興味を抱いたのか、
女は自分が寝泊りしていた店の二階へ入れてくれた。


それからしばらく話をして… 
当時23歳のさくらさんは、
13歳になったところの京介にセックスの手ほどきをしてくれた。

もちろん誰にも言わない、二人だけの秘め事だった。


その時のセックスがどうだったかは分からないが、
京介にとっては天国にも登るほど気持の良いものだった
と言う事は覚えている。


それからしばらくは三日と空けずに渋谷通いをした。

小遣いが底を付き、
おまけにおせっかいな近所の人達が、もちろん親切心からだろうが、
京介が学校を抜け出して電車に乗ってどこかへ行っている、
と言う事を父の栄に報告(告げ口)した。

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