よ つ の は
「そっかぁ…
私ね、ちょっと心配なんだぁ…
小さい頃から 女優さんになりたくて、お芝居の真似事とかは してたけど、歌手活動みたいなことは、今までやったことが無いから…
歌番組を見たり、友達とカラオケに行ったり位は してたし、歌手になるのも ちょっといいかなって思うこともあったけど…」

「そっか…
実は俺もさ、昔 まだバンドをやる前に、少しだけ俳優になりたかった時期があったんだよ?」

「えっ、そうなの?!」

「ぅん…、誰にも話した事ないけどねっ!
夢を追って、途中で色々な壁に突き当たると、そこで一回 冷静になって考えてみるんだ…
俺は今 何でこの壁を越えられないのか、何が問題なのか、その問題をクリアする為に 何が必要で何を努力しなきゃいけないのか…ってね。
そうやって順に紐解いていくと、大抵の壁を乗り越えて行けたんだ。
そうして ずっと役者っていうものと向き合いながら、何度も何度も壁を越えてるうちに、“俺にとって俳優って何だろう”っていう根本的な疑問に至ってさ…
そしたら、何か違うなって 思えてきちゃって…
自分が一番やりたい事を探してるうちに、音楽にたどり着いたってわけ!」

「へぇー そうだったんだぁ!」


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