よ つ の は
「フォリックさーん、そろそろ本番でーす。
スタンバイお願いしまーすっ!」


「よっしゃ! じゃあお前達、気合い入れてくぞぉ!」

「おーーーっ!!」



照明が落とされたステージ…
スタンバイをしながら 客席を見ると、ライブを見に来てくれているお客さんたちの 期待の表情が伺える…

「あっ! …」
客席の一番後ろの方で、元気に手を振る未来さんと、黙って優しく微笑んでいる恭子姉の姿が見えた。
その瞬間、今まで張りつめていた緊張が 一気に崩れ去り、私は思わず泣き出しそうになってしまった。

ねぇミヤビ…
私、やっぱりダメだょ…

ミヤビとの約束、守れそうになぃ…

お願い ミヤビ…

私に… 私に力を与えて…―





「よしっ、じゃあそろそろ始めるぞっ!」
ワン、ツー、スリー…

―ギューンッ!!ギュワンワン ジャガジャーン!!


―…?!!
こ…、この音!



「悪ぃ、みんな 待たせたなっ!」

「みっ… ミヤビっ!!」


間違いない… そこには ギターを抱えたミヤビの姿があった。

「うっはー! ミヤビじゃん! スゲェー、コイツ間に合いやがったよ!」

私はまるで、夢でも見ているかのようだった…


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