よ つ の は
* 桜 side *



―…!! こっ、これ…!」


それは、たったいまミヤビが集めてきた雪で作った、小さな小さなバースデーケーキだった。

急いで作ったせいで、形は ちょっとゆがんでて、上には手書きで“サクラ”の3文字が…


ねぇミヤビ…
あの時 私は、人生で一番幸せな瞬間だったって、今でも胸を張って言えるよっ…




大好きだよ…ミヤビ。











「ねぇミヤビ、ギュッてしてっ!」

「えっ…、だって人がいっぱいいるし…」

「えーっ、今日は私の誕生日なんだぞっ! お願い聞いてくんなきゃ、サクラちゃん泣いちゃうんだからっ!」

「わっ、分かったよ…
はいっ… これでいい?」

「だぁめっ! もっとちゃんと ギュッてするのっ!」

「はいはい… こうですかぁー」

「あーっ! 今度は心が込もってないよっ!」

「ははっ… 参ったなぁ…」

「うふっ… じゃあ今度は、頭 なでなでしてっ!」

「いやぁ〜 サクラ…もうこのへんで… 」

「だめっ!
泣いちゃうぞぉー… サクラちゃん泣いちゃうぞぉー… 」

「あーっ! はいはぃ分かりましたよぉ…
やれやれ…、急にどうしちゃったんだ? 何かあった?」

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