疵痕(きずあと)


 そのとき俺は怒ったんだ。


 顔や耳までカッカとして熱かった。


「俺の絵! またおまえが隠したのか!」


 アトリエのあちこちで忍び笑いのような声がさざ波のように広がる。



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