疵痕(きずあと)


 ああ、そうか。俺は思う。


 だから、やめられないんだ。


 この露出がたまらない。変態だ。


 才能がないくせに、見せるのには抵抗なんて全然ない。


 俺はギャラリー内を見渡す。


 間接照明で絵と足元だけを照らすと、どうでもいい絵が、どことなく引き立って見えるようなのは気のせいだ。


「あの……もしかしてこの絵の作者さんですか?」


 知らない女性から声をかけられた。



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