疵痕(きずあと)


 亡くなった俺のじい様を思い出す。


 利き腕を失っても、関節が残っていればまだよいと……言って、いた……


 赤いものが流れた。


 大事な、俺という存在を助け、肯定してくれる確かなぬくもりが紅にこぼれてゆく。



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