疵痕(きずあと)


「なあ、本当に危ないぞ。おまえ、俺を殺す気か?」


「殺す? ぎゃはははは! なんだ、やっとわかったのかよ」


 見下していた位置から数歩、俺の顔近くまで来ると、呪わんばかりの形相で俺を見た。


「いつ頭がおかしくなるか、見ててやろうと思ってたんだけどな。意外と図太いというか、ずうずうしいというか」

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