疵痕(きずあと)


「先生、薬局は開いてますか?」


 少し傷ついたような顔をして、彼女は落ち込んだ。


「開いてるわよ。なんでよ。少しは信用して欲しいわ」


「じゃあ、お金貸して下さい……ほんと、申し訳ないんですけど。俺、金なくて」


「これくらい?」


 俺は彼女の金離れの良さに感心した。


 みんなに『いい人』って言われるタイプだ。



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