Love Slave
「はぁ・・・はぁ・・・・一体、何なのさ・・・」


最近は走ってばかりいるような気がする。息が上がるのも早い。少しは運動しなければ。


「ここなら・・・追ってこないでしょ」


息切れしながらたどり着いたのは生徒会棟の裏庭。ここも生徒会の私有地なので、関係者以外立ち入り禁止、許可が下りない限りは入れない。
生徒会の会議にもそのまま行く予定だったから、ついでだ。


どどどどどど・・・・・


「ん?」


何がこっちに向かって突進してくる。まさか、追手が来たとか?いや、そんなはずは・・・・・。


バウッ!


「わあ?」


ドシーンと何かが私の身体に降ってきた。疲れ果てた身体はすぐに芝生の上に倒れこむ。
押し倒されたけど、芝生がクッションになっていたので痛くはない。


へへへへへへ・・・・・


すごい鼻息。黒と白と赤褐色の毛皮のコートを着た大型犬だった。円らな瞳で、犬好きの私はときめく。


「可愛い~、何処から来たの?」


首には緑色のラメが入った、いかにも高級な首輪をしている。何処かの飼い犬なのは間違いない。


「ヴィル、こんなところにいたのか!」


飼い主らしき人が現れた。その人を見たとき、きょとんとした。
サラサラのロングヘヤーに整った顔、オシャレな黒を基調とした服装・・・・。


(女の人・・・・・?)


「あれ、もとかちゃん!ごめんね、怪我してない?」


「へ?もとかちゃん?生徒会の方ですか??」


その言葉にその人はあはは!と笑った。


「何言ってるの。僕だよ、僕!!」


「ふ、副会長ですか!?」


声を聞いても分からなかった。いつもロン毛を束ねていて、秀才メガネをかけている副会長とは随分印象が違っていた。
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