Love Slave
「女の人かと思いました」


「僕の顔が女顔?この驚き方、この前と逆だね」


「あー、そうですね」


確かにそうだ。私が地味子から派手子に大変身した時は驚いてもんな。


「髪ゴム、どっかに落としちゃったんだよね~」


「予備のゴムありますよ」


私はポケットからこげ茶の髪ゴムを出した。副会長はニコッと嬉しそうに笑った。


「本当?助かるよ」


その笑みを見たとき、とくんと鼓動がいつもよりも早くなる。顔が熱く感じる、これは走ってきたからなのか、それとも・・・・。
副会長は突然、私の前でどしんと図々しい猫みたいに胡坐を掻いた。


「な、何ですか?」


「結んでくれる?」


「ええっ、だって私下手くそだし・・・・」


「それでもいいから、ね?」


「・・・・・・・っ」


私はその優しい声に逆らえなかった。別に奴隷ってわけじゃないのに、言う事を聞かないと、と思ってしまった。
くしを持っていないので手くしで髪をとかす。直毛で、指の間をスムーズに通り抜ける。男性とは思えない。すごく綺麗な髪・・・・。


「・・・出来ました」


「わー、ありがとう」


スタンダードな結びかたなのに、副会長は喜んでくれた。それだけでも嬉しかった。


ペロペロ・・・・


犬が私の手を舐めていた。尻尾をブンブンと振っている。


「そうだ、この子は副会長の犬ですか?」


「うん、そう。バーニーズ・マウンテン・ドッグのオスで、名前は佐伯・クリストファー・ヴィルヘルムっていうの」


「・・・・立派なお名前ですね」


ミドルネームまであるのか。
副会長は持っていた赤いリードを首輪に取り付ける。犬は散歩する気満々。


「これから一緒に散歩に行かない?」
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