Love Slave
新聞部は慌ただしく出ていった。どうやら始めからそういうつもりだったらしい。
廃部にはしなかったが、一ヶ月間は活動自粛ということにしたという。


長い砂嵐の映像の後、会長が謝罪会見を行った。


「ご迷惑をおかけしました」、と。


もっと生徒会の人間として精進しますと言っていた。その一言だけでみんな信じ込んだ。カリスマっていうのはこういう風な人を言うのかな。
でも、絶対嘘だなって思った。


この学校の最高権力者である生徒会。愛と正義のため、学校の治安を良くするために活動しているわけではない。


どちらかというと完璧なるアンチヒーローだ。人を苦しむのを楽しんでいる。


この集まりの二番目の位置にいる副会長から「話がある」と言われたのは、後始末が終えてからだった。


広すぎるスタジオに二人っきりになる。


「あの・・・話って」


「うん、結婚しようって話、あれ白紙ね」


「ええ?会長と・・・キスしたからですか?」


「そうじゃないって言ったら嘘になるけど、他にもあるんだ」


副会長は近くにある椅子に座った。


「・・・・本当はね、僕会長になりたかったんだ」


不思議と驚かなかった。副会長だったら会長になりたかったんだろうなって思ったから。


「でも、選挙の時に緊張しすぎてとちっちゃったんだよね」


副会長もそんなミスすることあるんだ。スピーチを行った私みたいじゃないか。


「一度でいいから、トップを味わいたかったんだ。すっごく楽しそうだったし、自分から立候補したんだけど甘かった」


軽い気持ちで生徒会に入ろうと思ったのか。ここのトップには入れれば、周りからちやほやされるもんなぁ。


「・・・同じ候補生の大和を見たとき、もう勝てないって思った。彼だけは別格だと思った」


「カリスマ、ですか」


「そうだね、カリスマ性が優れていたね。スピーチをしている姿も、生徒の接し方も、今回のゴシップもちゃんと把握できている」


新聞部は悪徳だったと語る。生徒会だけではなく、一般生徒を対象にしたゴシップ記事も発行していて、前々から苦情が来ていた。
この場を利用して、会長は一気にカタを付けた。
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