Love Slave
「ふああ……」


あくびが止まらない。朝陽の光がいつも以上に眩しく感じられた。目をこすると、目やにがぼろぼろと寝床に落ちた。


「うー、眠い」


隣で目覚まし時計がピコピコなっている。思いっきりドンっと止めたら、電池が取れてしまった。


寝床に置いておいた原稿用紙を見直す。とりあえず、出来た。


が、その内容は一言で言うと支離滅裂。これでいいんだろうか。私の数少ない文章力を練りこんだもの、演説するにふさわしいとは言い切れない。


本番は今日。本当に急すぎる。


このまま寝てしまいたい。今日の睡眠時間約3時間。おかげで寝不足。


朝食は昨日と違ってのどを通った。デザートのプリンも食べれた。


食べている間も、今日のスピーチをどうするべきかということが頭から離れない。


何せ、一つの文章を作るのにかなりの体力を消耗したのだ。無い知恵を絞ってこの様だ。


登校中も原稿用紙を見ながら暗唱する。集中しているせいか、白線を飛び出してしまい、クラクションを鳴らされるまで車の存在に気付かなかった。このまま心中してしまいそうだな、私。


電車の中でもバスの中でも暗唱し続けた。学校に着く頃には、昨日まで綺麗だった原稿用紙はすっかりしわくちゃになってしまった。


教室で最終チェックをしていると、後ろのロッカーで女子生徒達が集まり、盛り上がっていた。


「今日も執行部拝むわよー」


「早く始まらないかな」


「これくらいしか会えないもんね」


女子生徒達はハイテンションだった。この学園の最高権力者であり、憧れの的である生徒会執行部に会えると。


そんな中、私は心の奥底で叫ぶ。


(新入生歓迎会なんて、台風にでも吹き飛ばされてしまえ!!)
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