Love Slave
結局、一緒に会議室まで資料を持っていくことになった。


「あの・・・・等々力先輩?」


年下に「先輩」と付けるなんて初めてだ。違和感がある。


「『アル』でいいです」


「アル?」


「名前がアルターレなので、愛称がアルなんです」


「それじゃあ、アル君・・・・・。いつもあそこでフルート吹いてるの?」


「いつもというわけではありませんが、今日は天気がよかったので」


「そ、そうなんだ・・・・・」


ちらっとアル君を見る。金色に光るウェーブの髪に色白の肌、そしてビー玉みたいな綺麗な青い目。動くフランス人形のようだ。
日本人とフランス人のハーフだっけな。


「何か?」


ビクッとした。見つめすぎてしまった。


「えーっと・・・・ア、アル君はいつからフルート始めたの?」


「3歳からです。でも、始めはピッコロでした」


「ピッコロ?」


「フルートの小さいものと言っておきましょうか。ちゃんと始めたのは7歳頃です」


ということは10年ぐらい吹いているということか。こっちはピアノだって弾けないのに。


会議室に寄った後、アル君は何かを思い出した。


「すみません、ちょっと付き合ってもらえませんか?」


「いいけど・・・・何処に?」


もう放課後の時間。学校に用はないはず。
アル君は学校の近くの店まで付き合ってほしいという。


私も知らない裏路地に入る。こんな所、あったんだ。
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