Love Slave
吾妻梓はヒラヒラと手を振りながら去っていった。


「あの・・・コンサートって?」


すると、アル君は顎をひっこめた。


「すみません、僕、用があるのでこれで失礼します」


「あの、ちょ・・・・」


足早に行ってしまった。ぽつん、と一人取り残される。


「私・・・・何か言っちゃったのかな・・・・?」


「こんな所に女一人置いておくとは、アルは何考えってんだか」


「!会長・・・じゃない、ご主人様・・・・・」


いつの間にか、後ろの街灯の前で仁王立ちしていた。


「ずっとそこにいたんですか?」


「たまたま通りかかっただけだ」


本当にそうなのか?どうも胡散臭い。


「まったく、最近の奴婢は浮気性で困るぜ」


「何ですか、奴婢って・・・・」


「奴隷の別名だ。この前はどんぐり小僧、その前は航一朗と来て、今回はフルート奏者に心奪われたか」


「か、勘違いもほどほどにしてください!」


「アルは確かにいい奴だが、要注意人物だ」


「要注意って?」


「大人しそうな顔してかなり無茶をする奴だ。相当振り回されるぞ」


それよりも、私はこの人から相当振り回されてる気もするが。


「もう夜遅いぞ。いつものように送ってってやる。・・・・逃げないように、檻に入れてな」


「一人で帰れます!」


前言撤回だ。こんな奴を少しでも「良い人」だなんて思っちゃダメ!!
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