Love Slave
カッチャン カッチャン


ダンベルを軽々と持ち上げる。重さは50kg。小柄な身体とは対照的にかなりの筋肉質。
身体を鍛えなければ、フルートは吹けない。


「ふー・・・・」


一息つく。タオルが汗でいっぱいになる。


「おう、等々力もここで鍛えてるのか?」


「ゆーちゃん先生・・・・」


真田先生ことゆーちゃん先生が酔った勢いでやってきた。片手には冷えた缶ビールを持っている。
アルの隣に座り、プシュッと栓を開ける。


「聞いたぞ、来週コンサートにゲスト出演するってな」


「ええ、まあ・・・・」


「どうしたんだよ、いつもみたいにコンテストじゃないんだろ?だったら、気楽に出来るじゃねぇか」


ごくごくと喉を潤しながら言う。


「・・・・コンテストもコンサートも同じです、みんな同じ目で見るんです」


すると、ゆーちゃん先生は「そうか」と言って、缶ビールをくしゃっと凹ませる。すぐに飲み終わってしまった。生徒の前で堂々と飲酒するなんて、と呆れてしまう。


「まっ、無理はすんなよ」


ポンッと頭を撫でた。真田先生から見たら、いくら優秀な14歳でも、子供は子供だ。
「もう一本飲んでくる」と言ってトレーニングルームから席を外す。昼間から何本の酒を飲むつもりだ。


「・・・・・・」


アルはタンクトップからTシャツに着替える。
そして、背中に相棒を背負う。


生徒会棟へ戻る。
会議のため、練習のため。


自分の音色を奏でるために。


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