Love Slave
「そうだ、お祖父さんの所に衣装を取りに行かないと」


リハーサルに行くのに、また別の衣装に着替えなくては。アルの服装は白の服が多い。彼はとにかく純白が好きなのだ。


でも、時間はあまり残されていない。寄り道をしすぎた。昼寝までしてしまったし。
近道しよう。学校の裏口の先にある階段を下りればお祖父さんの店まで直行だ。


手摺に掴まって、階段を一段降りたその時。


どんっ!!


「うわっ・・・・・」


突然、背中に強い力が押された。体勢のバランスが崩れる。


ズダダダダダダ・・・・・・




「はぁ・・・はぁ・・・・・。ここまでくれば・・・・」


もうすでに汗がだくだく。恐ろしい形相で追いかけてくるんだもん、全力疾走で逃げるしかない。
それよりも早く、アル君にフルートを届けなければ。まだそんなに遠くには行っていないはず。


「あの、すみません」


「はい?」


話しかけてきたのは、白人の男性。外国の人だけど、日本語はペラペラっぽい。


「私、等々力アルターレの執事のリチャルドと申しますが・・・・」


「ああ、どうも・・・・」


タキシード着てるから誰かの執事っぽいなとは思ってたけど。


「あの、生徒会の方ですよね?お坊ちゃまはどちらに・・・」


「アル君、そちらへ向かったんじゃないんですか?」


「ええ、もうリハーサルの時間になるというのに・・・・」


「探します、これ、彼のフルートなんで」


執事さんにフルートを預けて、校内中を走り回る。その際、会長にまんまと掴まってしまった。


「やーっと、捕まえた」


「放してください!アル君を探さないといけないんです!」


「誤魔化そうたってそうはいかない」


「ぎゃー、落ちる落ちる・・・・」


暴れる所は階段だった。そして、その階段の下に倒れているアル君を目撃する。
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