Love Slave
「アル君、まさか・・・・・」


すくっと立ち上がる。今、会長はトイレに行っている。
ちょっと気付いた。亀甲縛りにされてるけど、縛られてるのは上半身だけで脚に紐は巻かれていない。


これでは「逃げてください」と言っているようなものだ。


♪~♪~♪~


音がどんどん大きくなっていく。ここの階には生徒会室しかないのに、何処で吹いているんだ?それに、筒抜けになっているのも謎だ。


「もしかして、会長の仕業?」


ワザとこんなことしたのか?上半身だけの亀甲縛りもそのせいなのか。


「逃げんじゃねぇぞ」という恐ろしい顔が思い浮かぶが、このフルートの音色に我慢は出来なかった。


縛られた状態で走りだす。扉は少し開いていたので顎で開ける。エレベーターのスイッチも後ろ向きになって肘で押す。


どこだ、どこだ、どこだ?


耳だけを頼りにアル君を探す。あの振り向いたときの表情が忘れられない。


♪~♪~


「こっちか、あっちか・・・・」


ああん、もう!私の耳悪すぎる!!方向音痴を起こしてる。


[視聴覚室だ、早く行け。このボケェ]


「え・・・・」


今の声、会長?妙なアナウンスが入った。


「視聴覚室・・・・・」


私はそのまま直行した。
< 201 / 281 >

この作品をシェア

pagetop