Love Slave
「何・・・・?」


「本当はずっと前から渡したかったんですけど、実は、クシャクシャになってしまったんです」


皺だらけの紙切れ。それは、今度行われるコンサートチケットだった。女子生徒が血眼になって求めているという。
そういえば、この前お祖父さんの店の帰りに何か渡そうとしたっけ。


「これって、まさか・・・・」


「僕、絶対出ます。怪我していようと関係ありません」


「だけどさ・・・・」


反論しようとしたけど、彼の眼はまっすぐでマジさを感じた。


可愛さとは裏腹だった。


「今回は対決ではありません。精一杯楽しんで演奏しますので、見に来てくれませんか?」


「あ・・・・・・」


プレミアムチケットを手に、彼の会場へ運ぶべきか。


「おやおや。ハーメルンの笛吹き男の音色にまんまと騙されて捕まったネズミがいるぞー?」


「か、会長!」


まんまと騙されてって、アンタが導いたんじゃないか。


「大和さん、僕・・・・」


「分かってる。意志も固そうだしな。止めても無駄そうだ。ただ・・・・」


「ただ?」


「お前の口から聞いていないぞ。本当の理由」


一体何の話だ。


「すみません、僕の不注意で・・・・」


「本当に不注意なのか?・・・・もう既に、狙われているんじゃないのか」


何、何!?話が全く見えてこないんですけど。
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