Love Slave
昼食を取るため、生徒会棟に向かう。今のところは何も危害を加えられていない。


「副会長によると、吾妻梓は午前中に雑誌の撮影があるから今日はお休みしてるんだって」


「そうですか」


休みにしてあるけど、コンサートの前に何をしでかすか分からない。アル君は吾妻梓の名前を聞くだけで気分が悪そうに見える。


「・・・・今日はいい天気ですね」


「え?う、うん・・・・」


雲一つない秋空。それとは対照的に、彼の心は晴れていないようだ。彼の肩には大事な相棒を背負っている。誰よりも大切にしているのが分かる。


「そうだ、アル君!渡したいものがあるんだ」


「はい?」


危うく忘れるところだった。


「はい、これ!」


出したのは御守り。昨日、神社でお参りしてきたのだ。


「今日のコンサート、成功しますようにって」


アル君は少々ためらいながら御守りを受け取る。
すると、心が晴れたように満面の笑みを見せた。


「あ、ありがとうございます。もとかさん」


その心からの笑顔に、頬を紅潮させた。


(やばい、めっちゃ可愛い!!)


それは独り占めしたいほど。



「おい、アイツだろ?等々力アルターレって。女連れだけど、どうするよ」


「ついでだ、そいつも連れて行け」


ガサガサッ


怪しい音が二人に迫る。そして、強行手段に出た。


「う、うーっ・・・・」


口を白い布で覆われる。布には麻酔が染み込まれていた。
二人は意識を失う。
< 210 / 281 >

この作品をシェア

pagetop