Love Slave
「・・・・ん」


「うーん・・・・」


「もとかさん・・・・」


誰かが私を呼んでる。辺りは真っ暗、ここは何処?


「もとかさん、起きてください!!」


「ん、あ?」


ガバッとその声に驚いて起きた。


「ア、アル君?何して・・・・痛っ!」


身体を動かそうとしたら手足を縛られていることに気づく。周りを見渡すと、何もないコンクリートの狭い部屋にいるのが分かった。


どうして、こんな所に・・・・・。


心当たりを探っていると、今度は頭痛がしてきた。そうだ、生徒会棟に行こうとしたら、誰かに口を塞がれて、その後の記憶は途切れて・・・・。


「つまり私達、誘拐されたってこと?」


「みたいですね」


一気に血の気が引いた。縛られた足で身体を引きずりながら、薄暗い部屋を動き回る。ここの出口だと思われる扉を見つけたが、カギがかかっている。手も後ろにあるんじゃ使えない。


泣く泣くアル君の元へ戻る。
すると、薄暗い中でもアル君の美肌は光っている。でも、その顔は呆れていた。


「・・・・言っちゃ悪いかもしれませんが、もとかさんって僕の用心棒ですよね?」


グサリと刺さった。言っちゃダメの問題じゃない。毒吐きもいいところだ。


(用心棒を快く引き受けたのに、悪人に捕まっちゃうなんて・・・・)


なんて情けない。その面でアル君の顔をちらっと見る。


色白だから分かる、顔面が蒼白している。


「どうしたの、アル君!ひょっとして、手が痛むの?」


きつく縛られてるから激痛が走ったのだ。せっかく治りかけてるというのに。


「平気・・・です」


「平気じゃないよ!ほら、アル君だけでも縄を解こう」


「ちょっと・・・・わっ!」
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