Love Slave
「返してください!!それがないと・・・・」


「無いと、何だ?」


会長とはまた違ったドS。アル君は必死で男に飛びかかる。
だが、縛られているせいでその場に倒れてしまう。


「ハハハ。滑稽だな。世界的フルート奏者が哀れな格好になってやがる」


「く・・・・」


本当に悔しそうだ。
その気持ちを踏みにじるかのように、男はアル君の頭に薄汚い足を乗せる。


「おらおら、どうした?そんなにこのフルートが大切か?」


「・・・・大切ですよ、僕の命と同じように!!」


その瞳は本気。一瞬、男が怯んだ。


「な、ならば、このフルートを壊せば俺は殺人犯ってことか」


フルートを三つに分解し、投手のポーズをとる。


「や、やめろ―――――――!!」


私は後ろに縛られた手を激しく揺さぶる。
その時、紐が解けた。


「アル君のフルートを返せ!!」


ガブゥッ!!


「いでええええええええ!!」


私は男の腕に噛みつく。手からフルートがこぼれ落ちる。慌ててそれをキャッチする。


「やった・・・・」


しかし、安心したのも束の間。


ビュッ


私の目の前を何かが通り過ぎた。その場で倒れてしまう。まだ、足の方は縛られたままだった。


「このくそアマ・・・・。別に殺して構わないらしいからな」


光る刃物。私の姿が映ってる。


「い、いや・・・・・」


男は私に狙いを定める。
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