Love Slave
全部このサド男の計画か。
本当に恐ろしい奴。


「そうだ、アル君!!」


胸部を切られたんだった。出血もしてる。


「ごめんね、ごめんね・・・・・」


「どうしてもとかさんが謝るんですか」


「だって、用心棒のくせに何の役にも立てなかったし・・・・」


「立ってますよ。だって、もとかさんは僕を守ってくれたじゃないですか」


「そんなこと・・・・」


否定しようとしたら、アル君は怪我した胸部から何かを抜き取る。


私があげた御守り。斜めにスパッと切られている。


「これが守ってくれたんですよ。だから、僕は軽傷です」


へなへなと力が抜ける。
そうか、こんな私でも役に立てたんだ・・・・・。


「あっ、今何時ですか!?」


「・・・5時半」


5時半、開場時間だ。でも開演は7時、充分間に合う。


「アル君、急ごう。会長!!」


会長の力だったら、自家用ジェット機でも使ってひとっ飛びだ。


「・・・・・やーめた」


「・・・・はぁ!?」


思わず言葉に出してしまった。何言ってやがる、この人。


「会長、早くしないとコンサートに遅れちゃいますよ」


「わざわざ行くのか、面倒臭ぇ」


「何言って・・・・・」


会長はアル君の頭の天辺をがっしり掴んだ。


「いっそのこと・・・・ここでドンチャン騒ぎしないか」
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