Love Slave
アル君は正装に着替える。白のタキシード。
可愛さに凛々しさが加わる。


「準備が出来たようなので、改めてご紹介いたしましょう。等々力アルターレ君とゆかいな仲間達だ!!」


副会長の勝手なアナウンス。ゆかいな仲間達って言えばその通りかもだけど。


歓声が上がる。プレミアがついて手に入らないチケットがなくても、生で聴けることに感激している。
男も女も大興奮。


アル君が一礼し、フルートを構える。
会場が静まり返る。


♪~♪~♪~


ホルストの『ジュピター』から始まり、バッハの『G線上のアリア』、アヴェ・マリアなど、最初はクラッシック中心。
その後の曲はテレビ番組の主題歌や私でも知ってる歌のフルートアレンジも演奏してくれた。


みんなアル君の演奏に聴き惚れた。これが世界的フルート奏者の実力なのかと。


アル君の表情は穏やかだった。本当に楽しんでる。あんなに楽しそうにしているアル君を見るの初めてかも。


曲が終わり、深くお辞儀する。
拍手喝采だった。ピーッと指笛も鳴らされる。


アル君は隣の倉庫へ戻る。ライトも小さくなる。


「アンコール、アンコール!」


観客からのアンコール。もちろん、生徒会にも届いていた。


「行ってきます」のサインを出して、アル君は再びステージに立つ。


「皆さん、今日はお忙しい中、誠にありがとうございます。アンコールにお応えして、続いての曲は『一人の特別のファンの方』にお送りいたします」


『一人の特別のファンの方』って・・・・・。


「もか、行くぞ。ほら、これ持て」


「はい?」


渡されたのは、なんとマラカス。会長はヴァイオリン、副会長はカスタネット、椚先輩はトライアングル・・・・何で私だけちゃんとした楽器じゃないの!?という疑問はさておき、無理矢理ステージに引っ張られる。
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