Love Slave
「はぁー・・・・」


ため息しか出てこない。幸せが逃げちゃう。
木陰があるベンチに座る。


青い空に白い雲が流れる。これもいつも通り。


これが、日常。


生徒会優遇制度なんていうとんでもない決まりがあるけど、それ以外は基本的普通。


「ただ、会長がいなくなった、それだけなのに・・・・」


心にぽっかりと穴が開いてしまった。


奴隷じゃなくなった今、私は会長の何だ?


「大富豪と一般庶民か・・・・」


周りからはそう思われてるだろう。今度からは「ご主人様」じゃなく、「大和様」って呼ぶようかな。


「よお、早乙女じゃねぇか!」


気軽に話しかけてきたのはマダ先生だった。


「マダ先生・・・・」


「さ・な・だだ!!それに言ったろ?ゆーちゃん先生と呼べと」


しまった、会長が「マダ」と呼ぶものだからうつったようだ。


「どうした、こんな所で。サボりか?いっけないんだぁ」


「そんなんじゃありません。先生こそ、顧問なのに生徒会の集まりに顔出さないじゃないですか」


「まあ、やりかけのゲームのあるしな」


顧問としてどうよ、その発言。不適切すぎ。だから会長から毎回出禁されるんだって。


「・・・・元気なさそうだな。草薙のことか?」


ギクッとした。ちゃらんぽらんに見えて、洞察力がある。


「はい・・・・。なんか、気が抜けちゃって。みんなは何も気にしてないみたいだし・・・・」


「そうか、そうか」
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