Love Slave
ビクビクしながらリムジンに乗り込む。そしてまたもや驚愕した。


本当に車なのかと思うくらいの豪華な造りになっていた。テレビモニターにドリンクバーまである。車の中というより、一つのお店だ。


「リムジンに乗るのは初めて?」


からかうように聞いてきた。当たり前じゃん、というかこんな高級車に乗れるなんて一生のうちにあるかどうか。


私は会長のことを気にしながらも、座席に腰を下ろす。座り心地がうちのと全然違う。


二人が座ったのを確認すると、安元はエンジンを掛ける。乗り心地は……緊張しすぎてあまり良いとは感じられない。


「ねぇ、何でそんなに離れてるんだ」


私と会長の距離は二人分。意識的である。会長の顔も直視できない。


(だって、会長が昨日あんなことするから……)


心の中でブツブツとつぶやく。動揺して何度も髪を掻きあげる。


「ほら、こっち来いよ」


ぐいっと引き寄せられた。また会長のドアップ。


またポンッと昨日の出来事がフラッシュバックとして襲いかかってくる。

考えちゃダメ、考えちゃダメ‼ 何度も反芻するが、否応なしに脳裏に鮮明な画像で蘇ってしまう。


(うぎゃー、会長のバカバカバカ!!)


「もしかして、あれがお前のファーストキスだったり?」


「!!!」


あっさり見透かされ、赤面すると会長はブッと噴き出した。


「ははっ、おめでとう。よかったな初キスが俺で。昨日は記念に赤飯でも食べたのか?」


ふふんと鼻を鳴らす。ムカつく、このドS!!


「そんな顔しない。それに俺の言うこと聞かなきゃダメだぞ? お前は俺の奴隷なんだから」


私が、コイツの奴隷?
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