Love Slave
「この仔猫ちゃんが生徒会新メンバー?」


こ、仔猫ちゃんって……。初めての呼称に戸惑い、気障発言に頬が引き攣る。


「やっぱ、生徒会執行部が全員揃うと迫力が違うわ~」


「あの女、航一朗(コウイチロウ)様にも近づいて……」


陰口続行。航一朗様ってもしかして、この人のこと……?


「初めまして、僕は生徒会副会長を務めている佐伯航一朗(サエキコウイチロウ)って言います」


丁寧に自己紹介してくれた。遠くで見えなかったけど、彼も中々の美形だ。長い髪はサラサラで、肌もつやつやしてて綺麗。
会長と同じく、長身の細身のモデル体型だ。


「え、えーっと私は……早乙女もとかです」


「もとかちゃんか! 可愛い名前だね。改めてよろしく、そして、ようこそ生徒会執行部へ」


チュッと、何かが頬にぶつかったのは分かった。
異常なのは周りの反応。


半径30メートル以内は一瞬で凍りついた。


「きゃああああああああっ!!」


絶叫マシンの悲鳴の様だ、もしくはムンクの叫びだ。女子生徒の阿鼻叫喚が天頂まで届く。


「航一朗様があの女にキスしたわっ」


「羨ましいというか憎たらしい!」


また生徒会役員にキスされてしまった。今度はほっぺだけど。こんな公衆の面前でキスするなんて、ここはアメリカか?
ここの生徒会執行部は恥知らず集団か。


「おやおや、仔猫ちゃんたちがヤキモチ妬いているようだね。心配しなくても大丈夫、君たちの分もあるよ」


そう言って、副会長は投げキッスを飛ばしまくる。あまりの嬉しさに失神する生徒も続出。なのに、笑って続けている。




私は、こんなメンバーがいる生徒会の庶務……。
納得いかないし、なぜ私が所属することになったのかが理解できない。
本当に大丈夫か?
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