Love Slave
「どういうことなのか、ちゃんと説明しなさいよ」


「納得いくまでね!」


「………」


昇降口に入ろうとして通せんぼされた。会長から解放されたと思った矢先、女子生徒の囚われの身になってしまった。
C組前にも多くの人だかりが。質問に答えるまで教室には入れてくれなさそうだ。


「だいたいね、アンタこの学園にとって生徒会というものがどんなものか分かってんの!?」


「私たちにとって生徒会棟は『聖地』なのよ。それなのに、生徒会に入るなんて!」


「身の程を弁えるべきね」


女子生徒にとって生徒会は学園のアイドル。その中に地味子な私が入ることになった。納得いかないのも分かる。


(っていうか、何で庶務に任命された自体が納得できないんですけど)


そんなことは口が裂けても言えない。火に油を注ぐだけだ。


「生徒会メンバーはまさに高嶺の花!」



父は大物政治家・母は宝塚出身の舞台女優 生徒会副会長・佐伯航一朗


家は病院、先祖代々医者の家系 生徒会書記・椚要(クヌギカナメ)


両親は音楽家、本人も世界に認められるフルート奏者。日本人とフランス人のハーフ 生徒会会計・等々力(トドロキ)アルターレ


そして、桁外れの財産を持つと言われる草薙財閥の御曹司にして次期後継者 生徒会会長・草薙大和


(そ、そんなすごい人たちだったの!?)


改めて生徒会の凄さを知った。いや、それよりも私が無知すぎているのか。


「メンバー全員、この学園に巨額の寄付金を納めてるから学園理事長さえ頭が上がらないのよ」


「ここは5年前まで男子校で、当然今まで生徒会は全員男だったの。大金持ちのイケメンって決まってたのに、何でアンタみたいな女が!!」


「新メンバーなんて、絶っっ対認めないからね!!」
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