Love Slave
ぽつん、とクラスから孤立してしまった。小学校の時も中学校の時もそうだったけど。私は何処へ行っても浮いてしまう。


例えると、風船。


こうなるだろうなと予測はしていたけど、まさかこんな形でなるとは。
私の周りにだけ空間ができていて、初めから私なんて人間はいませんでした、みたいな。


「こらー、さっさと席につけ」


担任が入ってきた。生徒達は慌ただしく席につく。私も渋々腰を下ろす。


「えー、昨日予告した通り、今日は実力テストを行う」


しまった、昨日も一昨日もバタバタしてたから忘れてた。入学後の実力テストがあることを。春休み中に連絡が来て、問題集も送られてきた。


テスト内容は中学の復習問題。主要5科目である国語・数学・英語・理科・社会。


やばい……全然勉強してなかったから全く分からない。答案用紙が霞んで見えてくる。これで一日の授業が終わった。終わった頃にはすっかり灰になってしまった。


(えーん、やっと終わったよ~)


やっとテストから解放されて机に突っ伏す。出来なかったけど。さっさと家に帰ろう。


ヴヴヴヴ、と胸から振動が響いて上半身を起こす。危うく声を上げそうになるが、何とか飲み込む。


「え? 電話?」


知らない番号だ。しかも宛名が、


『ご主人様』


こう名乗る奴は一人しかいない。何で番号知ってるのかと思ったが、一時期この携帯を奴に拉致されていたことを思い出した。恐らく、メールアドレスも知っている。


「も、もしもし……」


〈俺からの電話は着信音2回以内に出ろ〉


「す、すみません!」


〈今すぐ生徒会室に来い。そうだな、10分で来い〉


そう言って、ブツリと切れた。


(やばい……これは早く行かないと)


あのスーパードSに何されるか分からない。想像するだけでも鳥肌が立つ。
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