Love Slave
「え……?」


「昼休みに集まりがある。遅れるなよ」


会長はあれだけ返さなかったメガネを私に掛けてくれた。
ホッと胸を撫で下ろしかけてハッとする。


「か、会長こそ昨日は一度も会議室に顔出さなかったじゃないですか!」


「俺はいいんだよ、別に」


サボってるんじゃないの? 本当は……。
そうこうしているうちに学校に着いた。生徒会の登校だけで大騒ぎになる。


「素敵だわ、会長……」


「ちょっと、またあの女が隣にいるわよ」


「うわ、生意気~」


会長に対してはラブラブ光線を出しているのに、私には刺々しい視線しか感じられない。四方から罵詈雑言が飛び交う。


「おはよう、もとかちゃん」


「おはようございます、副会長」


副会長が後から登校してきた。柔和な笑顔に頬が自然と緩む。


「今日も会長と一緒なんだね」


「か、勝手に迎えに来てるんですよ!」


「ふふっ、それだけ心配ってことさ。じゃ、後でね」


心配ってどういうこと?
その時の私はまだ、副会長の言った意味を理解できていなかった。


上履きに履き替えようとした時、ピタッと足を止めた。


(もしかして……)


ひっくり返すと小銭が落ちたようにポロポロと画びょう出てきた。足の裏が穴だらけになるところだった。
一体誰がこんなことするんだろう。


心当たりは大いにある。教室では常に四面楚歌状態。教室に入った時、誰も挨拶してくれない。それどころか、ひそひそと何か言ってる。


無視して自分の席に着席して、机の中身を確認して絶句した。
油性ペンで落書きがしてあった。言葉にならないような誹謗中傷の数々。これでは教科書カバーをしなければならない。
今度から置き勉出来ないな。


生徒会に入って2日目、この状態いつまで続くのやら。
絶望としか思えなかった。
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