Love Slave
次の授業は体育。
ジャージに着替えて上着を通学カバンに入れ、スカートとブラウスをジャージ袋に押し込む。


体育は男女別の2クラス合同。C組はD組と組む。
女子は体育館でバレーボール。男子は外でサッカーらしい。


「はーい、みんな集まって」


集合をかけられた、先生の周りできるだけ寄る。
でも私だけ、みんなとは少し離れて体育座りする。やたらと化粧が濃い体育教師は気付いていない。
それでいいと思った。みんなも私の近辺に座ろうとしない。


「それじゃ、2人1組になってレシーブ・トスの練習をしましょ」


これが学校で嫌なところだ。やたらとグループで行動するよう命令される。
命令されて、即座にグループができる。


私は一人ポツン、となる。
2人1組になってなんて、呪いの一言。


先生は何も指摘しない。私は邪魔にならないよう、端っこで壁相手にレシーブをする。


(中学の時もそうだったから、慣れっこだ)


ボールを壁にぶつけ、返ってきたのを見計らって打ち返す。


「い……っ」


親指をぶつけてしまった。ただぶつけただけなので、突き指にはなっていない。
フーフーと息を吹きかける。


一部始終を見ていたクラスメイトが押し殺して笑っているのが耳に触れた。


(もう、最悪……)


「ねぇ、私とペア組まない?」


「え……?」


突然、話しかけてきたのは前髪にヘアピン二本つけたショートカットの女の子。同じクラスの人ではない、D組の人だ。


「早乙女さん……だよね? 生徒会新メンバーになったっていう」


「あ、はい……。あの……?」


「私、D組の近江吏沙(オウミリサ)っていうの。よろしくね」


と、可憐な笑顔を見せてくれた。

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