Love Slave
足手まといと言われてしまった。そういわれても無理はない。
このまま、あの場所にいたって私は全然役に立たない。
地味な上におっちょこちょいのバカだということは昔からのコンプレックス。


それを前面に出した大失敗。

いや、それ以前にこんな私が生徒会に入ったのがそもそも間違いだったんだ。適性検査すれば絶対に引っかかる。


早乙女もとかは生徒会役員としては相応しくないと。


(もう、生徒会に戻れない……)


始めから無理だったのだ。なのに、強制的に入れられてしまった。
ここで辞めれば、私は自由になれる。そうすれば、納得いかない子たちも少しは安心できると思う。


私としてもその方がいい。生徒会なんて性に合わない。


ヴヴヴヴヴ、ポケットからバイブが入る。袖で涙を拭き、メガネを掛け直す。


着信相手は・・・・会長だ。今回は電話ではなくメール。
なんてバッドタイミングなんだ。もう、私の大失態は耳に入っているはず。
ゴクッと息を呑み、受信ボックスに入った新規メールを読む。


件名:無題

今すぐに生徒会室に来い


会長からの命令だ。でも、足がそっちに向かおうとしない。それどころか、逆方向へ逃亡しようとしている。会長に会わせる顔がないというか、会いたくない。

しかし、再度バイブが私の体を揺する。


件名:Re無題

超特急だ


まるで私が行こうか迷っているのを悟っているかのよう。会長が何処かで見ているか? 生徒会棟からこの場所は見えないはずだが。


この際だ、もう言ってしまおう。こんな足手まといをいつまでも生徒会に置かせる訳にはいかない。私の気持ちは押し潰されてしまいそうだ。

開き直って生徒会棟に向かう。




エレベーターに乗ってる間、他のメンバーに遭遇してしまうのではないかとドキドキしてしまう。幸い、そんなことはなく無事に生徒会室がある5階にたどり着くことができた。


思いっきり叱られることを想定する。殴られたり、蹴られたりの暴力までされるかも。


そびえ立つ生徒会室の扉。開き直ったつもりでいたけど、やっぱ恐い。膝裏に脂汗が垂れてきて、自分は小心者だ。


でも、入らなければならない。心拍数が上昇する中、ノックをしようとした時、あることに気づく。


ドアが少し開いている。中からカタカタとパソコンのキーボードを高速で入力している音が聞こえる。
そっと中を覗き込む。


会長が一人、真剣な顔つきで作業してる。机には大量の資料が置かれていた。見える範囲でいうと5束ぐらい。


(これ、会長一人でやってるの……?)


「覗いてないで、さっさと入ってきたらどうだ」
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