Love Slave
「言いすぎなんだって、要は。ちゃんと彼女に謝れよ」


「………」


会計・椚要はいつもこんな感じだ。質疑応答しても続かないことが多い。
周りからは無口でクールな硬派と思われているが、メンバーからはただの寡黙と認識している。


しかし、反面会計担当と言うだけあって、彼による会計処理は完璧だった。金銭面ではシビアで1銭の狂いもない。悪く言えば守銭奴である。
そのため、生徒会にとって必要不可欠な存在なのだ。


会計のノートをチェックして、会長からの指摘は滅多にない。こればかりは副会長も文句は言えない。
唯一の欠点と言えば、たまに開く口から出る毒だろうか。


「副会長、会長は全部チェックし終えたと聞きましたが」


アルターレが見た目に反し、きびきびとした口調で問いただす。


「そうだね。でも、かなりの量があるし、また新しい書類も届けないとだから、みんなで大和のところに行こうか」


ついでに大和に話があるし。3人揃って生徒会室へ行くことにした。


3人の間に会話はない。要がいるからかもしれないが。でも、もう慣れっこだ。


ノックはするが、返事はない。いつものことだと割り切る。


「失礼するよー。大和、次の議会について……」


今まで生徒会になかった不思議な風が吹く。3人は目を疑う。


中央に立つ、ブランド服を身にまとい、サラサラのストレートヘアの高貴に溢れる美少女。
見知らぬ少女は現れた生徒会メンバーと目が合うと、恥じらいの表情を見せた。


「嘘、ちょっと待って」


彼女はもじもじと指先を絡めて、顔を背く。露出した耳たぶが赤く染めあがっているのが見て取れた。


副会長は胸をキュンキュン鳴らしながらも、問う。


「あの、どちら様ですか?」


彼女は気を決したように振り返る。
そして、ポケットからメガネを取り出し、掛ける。


「私、ですけど……」


そこには、生徒会新メンバー・庶務担当の早乙女もとかの姿が目に映った。
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