Love Slave
会議に参加するため、何とか普段着に着替える。
今日は全員が集まり、第2会議室で行われる。大学の講義室みたいに巨大なホワイトボードがあるところだ。


「えー、今日は月一の『吉宗公の儀式』を行う!」


「『吉宗公の儀式』・・・・??」


私がぽかーんとしていると、隣に座っていた等々力先輩があっと気付いた。


「そうか、早乙女さんは初めてでしたね」


そう言って、自分が担当する書記のノートを見せてくれた。
女性みたいな丸字でぎっちりと記録してある。


その中で、『吉宗公の儀式 何月分』と書かれていた。


「これは月に一度に行われる、生徒会が生徒の要望に応えるって儀式なんです」


そう説明すると、副会長が金ピカな箱を持ってきた。よく見ると、赤い字で『目安箱』と書かれている。


「何でも願いを叶える箱・目安箱、通称『如意宝箱』・・・・。これより、生徒の願いを叶えよう!」


何でも願いを叶える珠じゃなくて箱か。目安箱を設置させたのが8代将軍・徳川吉宗だからこの名前が付けられたらしい。
そういえば、校舎の各階にこの目安箱が設置されてたっけ。


箱のふたを開けると、要望の紙が大量に出てきてびっくり。


「こ、こんなに要望があるんですか!?」


「天帝はマンモス校ですからね」


「・・・生徒がたくさんいれば、それだけの要望が来るんだ」


椚先輩が高速で電卓を打ちながら教えてくれた。持ってるノートは会計のノートらしい。


「皆の者、準備はいいか?」


「イエッサー!!」


3人はかなり乗り気である。私は何が何だかサッパリ、椚先輩はずっと会計ノートとにらめっこ。


「それでは要望を発表する。意見または異議があるものは挙手を頼む!」


月に一度にやるという、『吉宗公の儀式』が始まろうとしていた。
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